平成12年の9月から11月までの3ヶ月間、私は時代に乗り遅れまいとパソコンの職業訓練校に行きました。私のクラスは、18名の訓練生がいて、そのうち女性が8割
を占め、年齢も18歳〜28歳位の人が大半を占めていました。まず、最初に自己紹介を行い訓練時間は、9時から16時30分までみっちり行われました。
私は最初の自己紹介で緊張してなかなか自分の名前が言えませんでした。 自分で家に帰っても、授業のことより、その事で眠れませんでした。何で若い女性の前では、緊張して難発がひどくなるのだろう！
今思うには、私が高校生の時に、痴漢に間違われ強引に犯人にされかけられ難発性のため弁明できず、まさに冤罪です。その事からきていると思 います。だから周りに女性が多いと、いまだに女性の目が気になり、緊張して余計声がでなくなります。
話は戻りますが訓練校では、先生が毎日出席を取ります。当然の事ながら、名前を呼ばれたら「ハイ」と返事をしなければならないのですが、その簡単な「ハイ」と言う返事が出来ません。だから教科書を開いて、復習しているふりをしたりして、名前を呼ばれても気づかないふりをしていました。けれど、その事が逆に皆に笑われ、その日も自己嫌悪に陥りその夜は、フトンの中で何十回も返事の練習をしました。
それから1週間程して決定的なことを隣りの女性から言われました。何であなたの所で出席の返事が止まるのですか、何で返事をするのにそんなに間をおくの、と言われた時、体が固まってしまいました。正直者の人たちには吃音者の心の葛藤は到底理解できません。遂には朝教室の中に入るのが恐怖心になってきました。自分は、一体何しに来ているのだろうと自分自身に言い聞かせ、こんな事で自分に負けていたら一生みじめな人生を送るのは御免だと思い、声が出ない場合は手を挙げて自分の存在を示していました。そのうち皆もちょっと変わったおじさんじゃないのみたいな感じで見ていたようです。私の反省点として最初の自己紹介の時に勇気を出して、自分は難発性のどもりです、と言えたら少しは気楽に訓練に励めたと思っています。
最後にうちのクラスの良いところがあります。それは毎年暮れにクラス会(忘年会) があります。今度このレポートをみなの前で告白しようと思っています。