僕のどもり
Ｏ．Ｔ
僕は定時制高校を卒業して、東京に就職しました。１年くらいして会社を辞めてから、転々と職場を変えるようになりました。そしてある電気屋に勤めて、どうして職場を変えるのか疑問をいだきました。そして、じっと考えてみると、自分が吃るからちょっとしたことでも、かあっと気が短くなって会社を辞めるんだなあと思いました。
学校では、本を読まされるとき、声が出なくなってどうしようもなかったことが
何度かありました。
僕は小さい頃は性格がおとなしい方で、無口だったので、両親もどもりということを感じていなかったようです。はじめて気がついたときは、自分一人で悩むようになり、両親にもそのことをあまり打ち明けたくありませんでした。どもりのことを考えると仕事にもあまり身が入らず、どもりをあまり人に知られないで治すことで頭の中がいっぱいでした。
それから何ヶ月かした後、池袋の吃音矯正所の門をたたきました。そこでは発声練習、腹式呼吸、会話の練習でした。アパートに帰ってからも、こっそりと発声練習をしていました。それから、心機一転のため、大企業に就職しました。自分がどもりで悩んでいることを打ち明けたとき、同僚や先輩はいろいろ励ましてくれました。けど、僕はついに自分との戦いに負けて会社を辞めました。
でも、言葉の不自由から逃げることはできませんでした。帰省して初めて母にどもりで悩んでいることを打ち明けたときは、一晩中悲しくて泣きました。
(1973.4)
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